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遠い夏の日 第七話

曲も途中半ばで店のドアが開いた。

客はタキだった。

赤いハイビスカス柄のアロハと、色の抜けきったジーンズ姿で、小脇にアルバムらしき物を抱えていた。

「マスター、コーヒーね。いやじゃなくてアイスコーヒー。なんだよ、こんな時間からエッチな曲聴いて」

「・・・・・・・」

「さては少年にも浮いた話が・・・か?」

「ないよ。そんなもん。あ!いや。なんでもない」

「あららら。なんか隠してるワケ?」

「いーじゃんよ。俺の事は」

「まあまあ。それはそうとエッチな曲じゃなくてハッピーな曲ってのはどう?」

シゲが割って出た。

BOYS TOWN GANGの『Can't Take My Eyes Off You』12インチシングルをシゲは手に持っていた。

『Can't Take My Eyes Off You』は10年くらい前に流行ったディスコナンバーだったけど瞬は原曲をオーダーした。

「Frankie Valliがいいかな。Can't Take My Eyes Off You君の瞳に恋してる聴かせてください」

独特の柔らかいファルセット・ヴォイズが流れてきた。

http://www.youtube.com/watch?v=PzpWKAGvGdA


http://


You're just too good to be true
can't take my eyes off of you
you'd be like heaven to touch
I wanna hold you so much
At long last love has arrived
and I thank God I'm alive
you're just too good to be true
can't take my eyes off of you...

君みたいな人がいるなんて 夢みたいだよ
見つめずにいられない
触るだけで まるで天国さ
ずっと抱きしめていたくなるよ
僕にも やっと愛ってのが めぐってきたんだ
生きてること 神様に感謝しなくては
君みたいな人がいるなんて ほんと夢みたいっだよ
目をそらすことなんかできないよ



[あの子。名前なんていうんだろう。澄んだ目だったな。綺麗な目だった]

瞬は踏み切りでの事を思い出しながら曲に恋する気分だった。

「おい、おい少年。し・ょ・う・ね・ん。起きてる?」

「えっ!あ?起きてますよ」

「オマエ今、ドコ?行ってた?何処かで誰かさんと夢心地ぃ?だったんじゃねーの?」

「なんすかそれ。俺の頭ん中に入ってこないでくださいよ」

「まーそれはそーとね。ライブの写真を毎回撮ってたんで見せるよ」

「へぇ?撮ってくれたんだ」

「いろいろ変化していったよな。ニューウエーブ系パンクかと思えばハードロックテクノだったり、スカ&レゲエ、ハードフォーク」

「んーバンド名もね」

「なんだっけ?あのオドロオドロシイ音だけどピキっだけどふゎっとしたディレイエフェクター通した音で」

「迦楼羅{カルラ}かるら」

「そう、カルラだよ。最初びびったね。なんだってこんな音やるんだって思ったよ。ドラムはタイトでリズム刻んでるし。ベースの太いラインで重複してきて、そんで目玉のボーカルもエフェクター通してきてさ」

「うん」

「あれ格好いかったわ。オーディエンスが皆口あけたまんま。棒立ち。んで一曲終わると、我に返った感じでウォーってさ」

「ふぅんっ」

瞬は鼻で笑ったように笑みを浮かべた。

瞬はふぅんって笑うのが癖だった。

決して鼻で笑っているのではなく、ハニカンでいるような照れ笑いに似たようなものである。

「いやー良かったのになんで名前と内容変えたんだよ」

「いやーんー飽きたから、そんだけ」

「んでな。ちょっと相談あるんだけど」

「なに?」

「写真集みたいなの出していい?」

「・・・・・・・」

「音が付いてるならOK。無いなら駄目」

「写真集に音なんてあるわけないだろ。インタビューみたいなのつけるから、なっ?」

「絶対に嫌だ。なんでオレがMCしないか理解してない。音と見たまんまで勝負してるからだよ」

「・・・・・・・」

今度はタキが黙り込んでしまった。

「まっ考えておくよ。でも期待しないで。ハコに来てもらった客だけを大切にしたいし」

タキは気難しく何事にも自分の世界を作ってしまう瞬に、アプローチしたが時期尚早だったかと後悔した。

「まー気が向いたらね」

瞬はソロソロ帰るかと思い、椅子から立ち上がりコーヒー代の小銭をカウンターに置いた。


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