スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遠い夏の日 第四十二話

階下のロビーでは水野という従業員が畏まり待っていた。

「水野君。お客様の話を聞いてあげてください」

ポマードで七三分けにした、いかにも髪の量が多そうなフロントマンが、水野という従業員に促した。

「はい。わかりました」

浅黒くにこやかな表情を見せてはいるが眼だけ冷めている青年は返事をした。

青年は20代半ばであろうか、まだ自分の人生を決めかねているように、サーフィンと仕事の両立に葛藤する年頃にも見える。

「無理言ってスイマセン。いろいろと聞きたいのですが・・」

瞬は頭をペコリと下げ一礼した。

「那覇市内に数軒ありますが、自分の通ってるショップは・・・」

水野青年は一通り説明をした。

「アリガトウゴザイマス。後で行ってみます。オキナワについて何も知らないので・・・」

「はい。楽しんでください」

水野が立ち去ろうとした時だった。

フロントマンが他の客を対応してる隙に瞬は水野に小声で耳打ちした。

「スイマセン。僕は708号室なんですけど・・よかったら、もっとくわしくおしえてください。仕事は何時までですか?」

「えっ?!いや、夕方までなんで・・わかりました。終わったら部屋か外で会いましょう。首里城なんかだと近いので、どーですか?玉陵で待ち合わせましょう」

意外な質問に困惑さを見せないでサラリと対応した水野に瞬はホッとした。

「はい。それでオネガイシマス」

水野は何事もなかったかのように立ち去った。

瞬は部屋へ戻り、身支度し部屋を再び出ようとした。

出る前にライティングデスクのメモ帳に母への書置きをした。

[帰りはわからないから適当に飯食ってください]

瞬はホテルを出て、日差しの暑さに後ずさりした。

昨夜のアルコールが抜けてないのか、ダルさが同居した重い身体を無理して歩けば、身体から毒が抜けるだろうと思った。

見知らぬ街に紛れ込むような不安感と、夏の暑さが迫ってくる感じが決して嫌いではない。

サーフィンも同じように、二度と同じ波は巡り来ることはない。

常にワクワクしたような不確かさを楽しむ感覚を海でも味わえる。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ
にほんブログ村

にほんブログ村 マリンスポーツブログ サーフィンへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

■ Comment

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。