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遠い夏の日 第三十八話

空港ロビーの大画面TVでは、夏の甲子園球児を映していて、食い入るように父親世代の男性達が見ていた。

「ね?早く行こうよ?」

せがむように小学生の娘であろうか、父親とおぼしき男性の袖を引っ張っている。

「お父さんはね、やっと休みなんだから、TVぐらい見せてあげなさい」

母親がそばで娘を諭す姿が目に入った。

瞬の頭の中には父親という文字は、ほとんど消えかかっている。

父親に頼るとか、父親の背中を見て育っただとか、よく言われる父親像を自分の中で消してしまっている。

できることならば、この世に存在すらしないで欲しいとさえ願っているのかもしれない。

学校は母親が通わせてくれているが、それは母親の一般的普通の道を歩んでくれとの要望に応えただけで、自分は自分で自立を願っているのが本当のとこだ。

今夏は母親の付き合いまでいかなくても、自分と方向性が合ったから沖縄へ行くだけで、親子水入らずなんて面倒くさく、ガキっぽい事はゴメンだとさえ瞬は思っていた。

[あ?オキナワか・・・長い夏休みになりそうだな・・]

瞬はロビーのソファーに横になり、持ってきた文庫本を顔に乗せ、目隠しした状態で目を瞑った。

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「トモミ。どーするの?明日空港に行くの?」

「そうだね明日さ、朝早くから空港に行こうよ。今日中に予約取れるなら時間を合わせてもいいし」

「そうだね。じゃーさ、二手に分かれて予約取ろうよ。ワタシはJALでトモミはANAってのは?」

「JASも忘れてるよ」

夏生と知美も予約を取れれば、すぐさま沖縄へ飛ぶ計画だが帰省と盆休みが重なっているため、空港でキャンセル待ち状態で張り付く計画だ。

「ツアーは高いし、期間が決められるから、行き当たりバッタリってのも面白いよね」

「そうだけど・・安いホテルとかあるのかな?」

「あるんじゃない?」

夏生は知美の無計画さが気になっていた。

夏は誰にも起こりうるように、何かに犯されるような風邪の一種のようなもので、危険を秘めている季節なのかもしれない。

過ぎれば懐かしく想い、涼しい風が吹く。

それは秋という季節の前触れで、冬は人恋しくもなる。

冬を越せば春が来て、人は一つ大人になる。

夏という季節は特別であり、普段の生活からは想像できない、仮面を脱いだ素顔を見せてくれるのかもしれない。


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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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