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遠い夏の日 第三十二話

瞬は夏生のいじらしいほど控えめな性格と天真爛漫な笑顔が気に入っていた。

対象的とも言えないが夏生の中にあるすべてを知りたくなっていた。

[First Kitchen]と書かれたオレンジカラーの店内に二人は入り、それぞれフィッシュサンド、チーズベーコンエッグバーガー、そしてアイスコーヒーとアイスティーを注文し窓側の席に座った。

「さっきの話だけど・・」

瞬が最初に切り出した。

「えっ・・」

夏生は瞬に手を繋がれた事のショックから微熱を伴い夏風邪から醒めないでいた。

[今度は何言われるの・・?もうワタシ限界かも・・・]

「オキナワとサーフィンと音楽・・・」

「うん・・」

「ぜんぶオキナワに行けばわかる」

「・・・・・・・」

[どーいう事なんだろう・・・意味がわからない]

夏生は瞬の意味深な発言に戸惑っていた。

「それから、君って、何か部活とかやってるの?」

「はい・・一応テニス部・・・ぜんぜん真面目に出てないけど・・・」

「そっか・・・ふ?ん・・真面目にやれよ何でも。真面目にやんないなら・・・サーフィンの事おしえないぞ」

「え?・・なんかシュン君てそんなに真面目で厳しい人なの?」

「オレの事はいいんだよ。それより自分を心配しろよ。チャントやらねー奴は嫌いだ」

瞬は突き放したような言葉で[嫌いだ]と言い放った。

夏生はビックリしたような顔から、みるみるうちに顔を歪め涙目になっていった。

口をへの字に曲げボロボロと涙が頬を伝って落ちた。

瞬自身は軽い気持ちと頑張れという意味で、[チャントやらない奴は嫌いだ]と発言したつもりだった。

しかし、それは夏生には通じなかった。

[嫌いだって言われた・・・]

夏生は自分が嫌いだと言われた事がショックだった。

「ちょっと・・・どうしたんだよ。」

瞬自身も夏生の突然の変化に戸惑ってしまった。

夏生から息を詰まらせるように嗚咽が漏れる。

[いや・・・参ったな・・]

瞬は困った様子だったが意を決して大胆な行動に出ることにした。

向かい合わせの席から一転、夏生の隣の席に移動して座り夏生の肩をそっと抱き寄せた。

夏生は抵抗もなくただ力なく撓垂れ掛るようだった。

瞬は夏生に回した左腕を夏生の頭の横にそっと寄せ自分の方へ抱き寄せた。

ちょうど瞬の首から肩にかけて夏生の口元がくるかたちになった。

夏生の生温かい吐息が自分の肌に感じられた。

瞬は夏生の耳元に自分の口元を寄せた。

「ゴメンネ・・・」

夏生は軽く[うん]とうなずき、瞬に身体を預けるように寄り添ったままでいた。

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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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