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?わだつみ

記憶のない男と、夢の記憶を追う者


Kはチョンキンマンションの出口付近にきて立ち止まり、表のネイザンロードを眩しそうに眺めていた。

「どうしたんですか?イキナリ。」

瞬はKを見上げるような格好で訊ねた。

「・・・・・・」

Kはチムサーチーの喧騒、斜め前のムスク、九龍公園、そしてペニンシュラホテルをゆっくり顎をしゃくる様に見ている。

勢いよくネイザンロードを、二階建てバスが走り抜けていった。

Kはチョンキンマンションの階段を、一歩踏み出そうとして振り向きざまに言った。

「なんでもねーよ。さて歩こうぜ」

瞬はKの細い切れ長の目尻に、今まで潜り抜けてきたであろう、自信と冷たさを感じていた。

周りを気にせず物乞いの老婆に、いくばかの金を恵んであげるなど暖かい気持ちが残ってるのだと、感心と尊敬の念さえ抱かずにはいられなかった。

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スターフェリー乗り場まで歩いて直ぐの場所にある。

フェリーに乗ると、たった何分かだが小旅行気分が味わえる。

九龍{クーロンサイド}から富裕層の住む香港サイドのセントラルビル郡を水上フェリーから望む。

生暖かい風がKのシャツの裾から入り込み首筋えと抜けていく。

まずビックリする事はクーロンの中国色とは対称的な建造物と行き交う人。

西洋人だけとは言い難い肌と瞳の色。

汚いバックパッカースタイルだと恥ずかしいくらい洗練された街だ。

セントラルで一際高く聳える新しい建造物のフォーシーズンホテルの隣にショッピングモールがある。

高級海外ブランド店の殆どが並び、日本食専門のスーパーマーケットもある。

スターバックスでコーヒーを買い表のテラスで二人は腰掛けた。

「なんだか世界が違いますね」

瞬が目を大きく開いてKを見ながら言った。

「そうだろ。世界が違う」

Kもコーヒーを啜りながら答える。

「中心都市ってのは何処の国でも同じさ。中でも先進国の高学歴を輩出する国は上昇志向がある。だがな、日本と同じでピラミッドさ。底辺、低収入層があるから、先端の富裕層が成り立つんだ」

Kが全てを解釈したように続ける。

「ふーん・・・そうなんですか」

瞬は解かるようで、わかりたくない世界だと思った。

隣のテーブルでは、香港の大学生数人がレポートを交えながら討論している。


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海外高級ブランドショップ、香港レディースブランド、スタンドコーヒーショップ、日本食専門マーケット 、驚いたことに日本式の弁当屋まであり、暖かいライスを、その場で盛ってくれるサービスまである。

中国いや、香港のビル群を下から望と、あることがわかる。

どれも巨大に天に突き刺さりそうに細く伸びていて、地震がない証拠の建設様式だといえるが、もうひとつは風の通り抜ける空洞や、風を受けてもビル全体で受けない設計が施されている。

ビル内も同じで、オープンフロアの一階から三階はエスカレーターが張り巡らせ、風の通り道が必ずある設計になっている。

冷たい空調、エアコンガス特有の隠る匂いが、フロアや空間を漂うと、眠気が襲い、気だるい眠りに落ちそうになる。

それは麻薬のように人間の五感を狂わし、抜け出る事をさせないものに似ている。

だがビルのエアコンは、フロア全体を冷気が流れるように作られ、肌を撫でるような風が通るとき目が覚める気持ちになる。


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テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

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