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?わだつみ

[記憶のない男と夢の記憶を追う者]


P,octopus
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オクトパスカードを使い香港中を周れる事が出来て、初めて香港市民の仲間入りと言える。

佐敦(Jordan)から尖沙咀(Tsim Sha Tsui)までの一区間を、わざわざMTR(Mass Transit Railway, 地下鐵路)に乗るのも贅沢かもしれない。

※オクトパス(八達通)
オクトパスカード読取部香港では、公共交通機関の中では世界で最も早く日本のソニーの開発した非接触型ICカード規格、FeliCa方式を採用したオクトパスカード(八達通:Octopus Card)と呼ばれる交通プリペイドカードを1997年に導入した。

現在このプリペイドカードで香港の地下鉄、鉄道、バス、トラム、ライトレール、フェリー、ケーブルカーなど、タクシーを除く殆どの交通機関において使用が可能である。

また市中のコンビニエンスストア、ファーストフード店、コーヒーショップ、レストラン、自動販売機、証明写真撮影機、公衆電話などの様々な施設で電子マネーとして使用出来る。

日本のSuicaやICOCA、シンガポールのEZ-linkなどと同じ規格だが互換性は無い。

[それにしても、なんて寒い車内だろう・・・]

と、瞬は思った。

車内は他人の迷惑も考えず大声で話す中国人達。

携帯電話から漏れてくる通話の声。

会話が喧嘩してるように聞こえる。

それだけで滅入る。

瞬は寒さと雑音の中で今朝の夢を考えていた。

[誰なんだろう。何処に行こうとしてたのか?!]

「し お ね」と、口に出してみた。

不思議な夢だけど暖かい感じ。

自分の手の体温を確かめるように自分の頬に掌を当ててみた。

あきらかに自分の体温とは違う体温だ。

再び夢と同じような錯覚が蘇ってくる。

「おい。降りるぞ!」

Kに肩を叩かれ瞬は現実に戻されてしまった。

地下鉄改札を抜け、重慶大厦{チョンキンマンション}出口から地上へ上がると、ムアっとしたアスファル
トの照り返しと、湿った気温に包まれる。

20070727093352.jpg

重慶大厦の入り口近くでシーク教徒のターバン姿と、派手なシャツを着たインド人が「ニセモノ トケイ イラナイ?」と、しつこくまとわりついてきた。

「うるせーな!」

Kが押しやる。

インド人達は、顔を見合わせニヤリっとする。

「ちょっと資金を調達しようぜ」とKが言う。

「え?資金?」

「両替だよ!りょうがえ!」

香港の両替はチョンキンマンション内の両替商を使うと率が良い事で有名だ。

10件以上の両替商が一階から軒を連ねてる。

ガラス越しに手招きする両替屋。

「アシタ タカイヨ キョウ イイヨ」

「本当かよ!けっ!」Kが一瞥する。

奥の階段まで進み二階に上がる。

「此処が良いんだよ」

「そうなんですか?」

「間違いねーよ」

レート計算表を見ると本当に率が良い。

Kは上着の薄いシャツをたくし上げ、腹に巻いてるウエストセキュリティー袋からタイバーツ紙幣を大量に
出した。

ガラス越しに利口そうなアラブ系の男が紙幣を素早く計算してる。

瞬は日本円1万円だけ両替した。

一階に降り、ビル内を少し散策した。

アフリカン、ヒンディー、華僑、とにかく人種の坩堝と、臭い体臭が漂っている。

安い土産物屋、各国の料理屋、航空券屋、インターネット屋、そして携帯電話屋。

二階から上は安宿街になる。

交渉は各自だが、それぞれグレードと値段が異なる。

自分達の泊まってるラッキーハウスは、HKD70ドル{1000円}だが、ドミトリーでHKD50ドルなんてのもある。

しかし安さに釣られると痛いしっぺ返しを食らいそうだ。

各フロアーに上がるエレベーターが、なかなか来ないのだ。

「どうだいチョンキンの居心地は?」

「はー・・・なんだかクラクラします」

「はははっ。そうだろ。それが良いんだよ」

瞬はKの言ってる意味が掴めなかった。

「もう出ましょうよ」

瞬が弱音を吐いた。

Kは黙っていた。

Kの視線の先に一人の老婆が映っている。

老婆は歩き行く人々に物乞いをしている。

「どうしたんですか?Kさん」

「・・・・・・・」

「けい・・さ・・」

と言いかける隙にKは老婆へ歩み寄る。

Kはポケットから小銭を数枚掴むと老婆の掌にジャラっと小銭を落とした。

老婆は手を合わせるとKに向かって祈る仕草をした。

周りのインド人達が「Oh!..」と歓声をあげた。

誰かが「バクシーシ..」と呟く。

Kは出口まで足早に歩きだした。

瞬はKの長い足と歩調が合わず見失いそうになる。


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