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遠い夏の日 第二十八話

「波間君じゃん。どーしたのこんなとこで?」

知美が瞬に話しかけた。

「えっ、あーなんとなく買いに・・あーそれより、夏生に用事あるんだわオレ・・ちょっとこれからいいかな?悪いんだけど」

瞬は知美が一緒だなんて眼中になく、お構いなしに二人っきりにしてくれと切り出した。

「えっ?って事は・・あー・・」

知美は夏生の顔を見て目配せした。

夏生は何も応えずにうつむいていた。

「わかったよ。じゃーねナツキ気をつけてね」

「う、うん」

夏生は困ったような恥ずかしいような表情で知美に返事した。

「じゃ行こう」

瞬は夏生の顔も見ずイキナリ夏生の手を握り繋ぎ、エレベーターではなくエスカレーターの方向に歩いていった。

夏生は今自分に何が起こっているのか、事態が把握できないまま瞬に引っ張られて歩いていくだけだった。

同時に身体全体が熱くなるような感覚を覚えた。

[あ?どうしよう・・手なんか繋いじゃったよ・・どうしよう・・どこに連れていくの・・]

エスカレーターは最上階から一階までの長い道のりだった。

夏生は心臓が飛び出そうなくらい、ドキドキしてしまい店内の景色など目に入らない。

瞬は無表情のまま、ただ夏生を引っ張り歩いているだけだった。

一階に着きビルの外まで出たとき、瞬は今まで夏生と繋いでいた手を振り解いた。

「ふ?」

そして深呼吸し、空を仰ぎしばらくそのままでいた。

「どうしたの?」

夏生は瞬に声をかけた。

「ゴメン。貧血っぽくなってしまって立眩みチョクゼンて感じ」

瞬はビルという狭い空間と人ごみと大勢の女性の中という不自然な状態から、自分の意識をマイペースに戻そうとしていた。

「だいじょうぶ・・?」

「うん・・オレ駄目なんだ・・狭い空間ていうか、慣れない場所が」

「だいじょうぶ?どこかに座ろうか?」

「いや、なんでもない」

心配する夏生に、平然とした顔を瞬はむけた。

「行こう」

再び瞬は夏生の手を繋ぎ歩き出した。

ファーストフードやスタンドコーヒーショップが立ち並ぶ喧騒を嫌ってか、瞬は暇そうで落ち着いた店内のカフェの前で立ち止まった。

「ここでもいい?」

「えっ?!うん。いいよ」

ドアを押し開け店内を望むと、広くガランとしていて客は二人しかいなかった。

カフェというより昔ながらの喫茶店という雰囲気で、古臭いソファーと重厚なテーブルが配置されていて、ピアノコンチェルトが静かに流れていた。

「あそこにしよう」

瞬は一番奥の席を指差した。




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