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わだつみ 第一話



海原へ。

海は何処かの世界で、繋がっているのだろうか。

人の記憶も、何処かの世界と繋がるとすれば・・・


20070706111839.jpg


1/F kwun shuen manssion 115 shanhai street,yau ma tei,kawloon,hong kong

其処を訪れる客を店主は選ばない。

アジアを放浪する者。

ヨーロッパへ旅立つ者。

隣の中国へ留学する者。

香港でチャンスを待つ者。

そして、日本へ帰れない者。

うす汚い雑居ビルの階段を登り、キシム扉を開けると、ドミトリー形式の二段ベッドが見えてくる。

奥の部屋にしかない窓から、今まで歩いてきたベットリした湿度を、拒絶するかのように、乾いた陽光が差し込んでる。

昼間から寝ている者、漫画に没頭してる者、国々の情報交換をする者。

「これから何処を周るんですか?」

「んーとりあえず、広州から中国ですね」

「これから飛行機でヨーロッパまで行きます」

「あー僕は北京で働いてるんでビザ申請です」

「これから日本へ帰ります。半年間いろいろ回りました」

皆、意気揚々と語り、旅の通過点にしてる者達が、いつかは部屋から吐き出されていく。

空港アライバルゲートからバス乗り場までの下りのコンコースを歩いてくると、南国特有の湿った蒸し暑さの洗礼を受ける。

そして、暑さに覚醒される。

クラっと、後ずさりする感じだ。

「あー又、きちゃったんだ」

瞬 20代後半の彼を、香港が掴んで離さない。

日本で普通どうり普通らしく暮らしてきた彼を、一枚の写真がキッカケに彼を此処まで運んでしまうのだ。

父親は大手商社マンだが、野心家で起業のチャンスを窺っては妻に嗜められてる。

その妻で母親は堅実な主婦だが、どこかコスモポリタン感覚な持ち主で美人。

母親の唯一のルーツは、遠い親戚に外国人がいたこと。

それが何処の人なのか、未だにわからないと母親は言う。

瞬は大学を卒業し、普通の大手メーカーに就職し都内を歩いてきた。

まだ大役を任せてもらえない苛立ちと、幾分か会社という牢屋に飽きていた。

重い雲に覆われる6月の蒸し暑い夏が始まったばかりの日に、とある画廊を彼は訪ねた。

小さく「追憶」と記されたタイトルで、名も知らない写真家の写真が数枚壁に飾られてた。

水平線を境に、空と海と雲だけが写ってる写真があった。

青を基調としたコントラストが、悲しくも自由さを訴えかけてるようで、瞬に興味を持たせた。

50代前半だろうか、センスの良いワンピースとハイヒールを履いた婦人オーナーに彼は写真の事を聞いた。


tao.jpg


「これは何処なんでしょうか?写真家は何処の国の人でしょうか?」

「わかりませんわ。わからないのです。私の友人の紹介で世界を周りながら写真を撮ってる写真家と聞いてます」

それから彼は何度か画廊に通っては、婦人オーナーに絵や写真の事などを教えられる日々の交流が始まった。

画廊婦人の名前は「恵子」さん。

都内の美大卒業後、パリへ留学し絵を描いていたという。

そんな彼女も自分の限界を感じ、いつの頃からか画商の道に。

「ねえ瞬君。君は今の生活に満足してる?」

「いやー。なんだか考えた事ありませんよ」

「若いうちはね、旅をしなさい。旅を。そして何かを見つけなさい」

「なんだか恵子さんは母親みたいなこと言うな」

「私は独身よ。永遠に。君みたいな子供に母親だなんて言われたら私この先どうやって生きていけばいいのよ」

そんな交流が続いた。

瞬は写真が何処なのか?

誰が撮ったのか?を知りたくて会社を辞めてしまい、アルバイト暮らしと渡航を繰り返しいた。

自分探しのようなロケーション探しの旅が、いつしか香港を拠点へと変えていった。

いつも希望と失う何かを表裏させながら彼はゲートを下る。

空港エアポートバス

A22(39HK$) E23(佐敦上海街下車18HK$) A21(佐敦地鐵站、幸福酒店33HK$) 深夜便N21(佐敦地鐵站、幸福酒店)

バスを降り宿までは直ぐだ。


20070706111726.jpg


香港上海街。

背の高い高層ビル群と綺麗な香港とは一線を画す街。

エアコン室外機から落ちる滴を雨と勘違いしながら通りを歩く。

鼻の奥に残る中国特有の匂い。

それを感じながら、宿の階段を登るのだ。

Blow by BlowBlow by Blow
(2001/07/31)
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