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遠い夏の日 第十七話

瞬はいつものように夕方のサンセットサーフィンを終わらせ、自宅で適当な食事を作っていた。

今夜のメニューは、スパゲティケチャップタバスコスペシャル。

なんて事はない、ただパスタを茹でて麺にケチャップと、タバスコを振りかけただけである。

サーフィンで身体が疲れていると、何もしたくなくなる。

ひどく疲れると、シャワーも浴びずに床で寝てしまう。

それぐらいサーフィンは疲れるし、炎天下の下で太陽を長時間浴びるのは疲労につながる。

オリーブオイルを熱して、ニンニクと鷹の爪で香りを出し、カットトマト缶を放り込み塩を一つまみ。

これぐらいの作業でも、面倒になってしまうのだ。

タバスコの苦いような匂いと酸味、そしてケチャップの不自然なな甘さ、後から追いかける辛味、何とも言いがたい食感だ。

食事を終えると、口の中をアイスコーヒーで洗い流した。

学校で借りてきた沖縄に関する本に目を通すことにした。

二冊の資料を流し見したが、頭にはぜんぜん入ってこない。

つまらなくなり、ついマガジンラックから、[FINE]を手に取り読み出した。

[FINE]はサーファー系ストリートマガジンで、年頃の若者ならば皆一度は読んでいる雑誌だった。

ファッショングラビアを中心に広告が掲載されていて、読むというよりは眺めるに近い。

ただ巻末近くなると、流行っている音楽の紹介や、サーフィンコンテストレポートなど、いち早く情報が載っていた。

[サーフムービー紹介]と題して、「Point Breakハートブルー」という映画が、この秋に日本で公開になると記事が書かれていた。

日本でも「あの夏、いちばん静かな海」の撮影好調と記事が載っていて、やはりこの秋に公開と書かれていた。

[サーフムービー?ふ?ん・・・暇あったら見に行くかな・・・でもどーせたいした内容じゃないだろな]

瞬はFENから、ラウンジソウル系が静かに流れ始めると心地よくなってきた。

[あーあの子・・ナツキっていうのか。それにしても表情かたいな。やわらかくしてやるか・・・映画でも、誘って・・・あー夏休みか。そろそろ・・・会えないか]

瞬は夏休み前に話しかけてみるかと思ってはいたが、睡魔が邪魔して考えが定まらなかった。

そしていつの間にか、リビングのソファーで寝息をたてていた。

http://www.youtube.com/watch?v=B4j2slR2Amk


Kool & the Gang - Summer Madness (extended mix)
http://



あくる日、学校の各教室は、明後日からの夏休みを前にしてザワツイテいた。

「トモミ・・・沖縄OK出たから」

「あ、ホント。早速、予約しないとね」

「うん」

「そうそう。新しい水着買わないと!」

「そうね」

「今日さー・・・街中まで行こうよ。予約っていうかー・・・ツアーとか決めないといけないし」

「う・・・ん」

「なによ・・・ノリ悪いじゃん」

「そんなことないよ」

ナツキはなんとなく沖縄への不安と、瞬のことが重なって浮かない表情だった。

「新しい水着買ってさ・・・パラダイスへ行くのだ!」

知美の異常なまでの鼻息の荒さに、夏生はついていけなかった。

[あーあ・・・なんだか沖縄って気分でもなくなってきた]

授業は今日明日は昼で終わりだが、カリキュラムはビシビシと進んでいた。

選択科目社会の、地理、歴史{日本史、世界史]は3クラス合同だが、それぞれが自分の教室へ向かう。

知美と夏生は地理だったが、一つ離れたくラスの瞬は世界史だった。

授業は教科担任の計らいか、自習で終わった。

それは世界史の瞬のクラスも同じだった。

自分のクラスへ向かうとき世界史の教室を覗くと、大胆にも昼寝から覚めない瞬がいた。

「あーまた寝てるよ・・・ナミマ。あの人、学校に何しに来てるんだろね」

「いいじゃない・・・なにしてたって」

「えっ!?」

知美が驚いたように、夏生の顔を見た。

「人の噂するのはよくないよトモミ」

「そ、そうね」

いつも積極的に発言などしない夏生がイキナリ言い出したので知美は驚いていた。

「ちょっとーナミマ・・・もう終わったよ・・・起きなよ」

朋絵が瞬の頭を、教科書でグリグリと、ふざけて撫でましていた。

「あーーなんだオメーか・・・さわんなよ。バカ!」

「なんだよ・・アホ。アンタのマネージャー辞めてやるからな」

「・・・・・・」

瞬はうるさい女め!と眠そうながらも睨み返した。

「やだ?瞬ちゃん怒っちゃったの??」

朋絵が甘えたように、フザケテからかっていた。

それを目の当たりにした夏生は、愕然としたようなガッカリした表情で肩を落とした。

[なによ。誰・・・あの人。やめてよ・・バカ・・・もう知らない!]

夏生は落胆した気持ちと、ハラハラした気持ちが交錯し、泣きたくなってしまった。


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