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遠い夏の日 第十四話

四時間目の中継ぎの休み時間に瞬は一階のロビー購買にいた。

「オバサン。このパンとこのパンとコーヒー牛乳ちょうだい」

「だめだよアンタ。昼休みじゃないと売らない」

「昼は混んでるじゃん。いつものことじゃんよ」

「仕方ないね。お得意さんだしね。アンタは。また母さんは弁当作ってくれなかったの?」

「あーそうそう。いいんだよウチのことは。忙しいし金もらってるからさ」

瞬の学校は給食制度は無く、各自弁当持参か購買を利用する。

だいたい決まって昼休み前に弁当は食べてしまうし、食べ盛りだから腹は減る。

昼休みは毎日がイベント盛りだくさんの高校生だ。

同じ部活部員で集まっていたり、仲のいい同士で集まっていたりしながら、それぞれ時間を潰す。

なかには軽音楽部のようにギターを持ってきて、バンドさながらアコースティックライブまでやってる者までいる。

瞬にとって授業中は昼寝で、昼休みは勉強の時間だった。

学校からだいたい各科目ほぼ毎日課題が出される。

瞬にとって放課後は、バイト、サーフィン、バンドであり、厄介な事は学校で済ませていた。

あまり利用されないが蔵書量だけは豊富な図書室へ行き、出された課題を終わらせるのが日課だった。

ただ与えられた時間しか許されない休み時間なので、終わらない場合は授業中に他の科目の課題をする場合もある。

彼はそれ以外でも図書室を気に入っていて、雑誌を読んだり調べものをしたり歌詞を書いたりよく利用する。

静かで穏やかな空間で、物思いに耽るのは、彼にとって至福の時間でもあったし、誰にも邪魔されないのだ。

[さて沖縄..おきなわ..オキナワ..と..]

この日は課題とは別に、昨夜自宅書斎に無かった沖縄の神話や言い伝えを探していた。

「琉球神話と周囲諸民族神話との比較」「沖縄の民族学的研究―民俗社会と世界像」「神話と神話学」「日本神話のなりたち」「波照間島の神話と儀礼」

[うわっマジにこんなにあるのかよ。しかも厚い重い]

図書室担当カウンターにもっていくと即答で断られた。

「貸し出しは二冊までです」

「じゃーこれ「波照間島の神話と儀礼」 「琉球神話と周囲諸民族神話との比較」」

「貸し出し期間は二週間ですから」

[けっ。冗談ぽいっじゃねーかよ。夏休みだっつーの]

「はい」

[んー我ながら相変わらず品行方正な態度。役者だなオレって]

「えっ。今何か言いました?」

「あ。いや何も」

[なんだよ。コイツ。オレの心読んだってか?!あ。つい口走ってしまったかも。とりあえず資料は借りたので、オキナワ資料はクリアだぜ]

そうこうしてるうちに昼休みが終わりを告げるチャイムが学校中に響き渡った。




五時間目は体育で今日の授業カリキュラム終わりだ。

女子は体育館で機械体操、男子は炎天下でサッカーだった。

夏休み前なので教師も力を入れずに自習に近い生徒主体の授業だった。

社会科[世界史、地理、日本史] 芸術[美術、書道]などは3クラス合同でそれぞれが履修選択科目別に授業を受ける。

他にも体育などが3クラス合同で授業を受けることになっていた。

「ねーナツキ。ダルクない体育」

「うん」

「あー頭の中がオキナワだわ?」

「ちょっと。まだ早いってソレ」

「オキナワでさ?一夏の恋とか憧れるのよね?」

「は??!ありえない!そんなのありえないから」

「そう?ソレってさ普通じゃない?」

「ワタシはありません!」

夏生は恋愛に今まで消極的で奥手だった。

恋という怖いモノ見たさの部分と、どこかノリきれない自分が自制してしまうのだ。

ただ憧れている恋愛理想像と、相手に望む理想は心のなかにあった。

ちょっとだけ御姫様気分でもいたいし、相手が自分を本当に大切に扱ってくれる。

尊敬できる大人であり、いつも自分を守ってくれる一本筋が通った騎士道か侍道みたいな人なのだ。

でもなかなか出会いは無いというより、自分で自分に疑問符をつけてしまう。

なかなか先には進まないのだ。

「ねーナツキ。先生どっか行ったみたいだわ。あと五分で終わるから早抜けしない?」

「そうね。着替え混んじゃうしね。」


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