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遠い夏の日 第八十七話

しゅんと項垂れ夏生は戻ってきた。

力なくスライドドアを閉め、後部座席に身を置いた。

マヒルは何も言わず車を発進させた。

知美も何かを察知してるのだろうか、一言も夏生に声をかけることがなかった。

那覇が近づいてきて、やっと夏生が口を開いた。

「マヒルさん。さっきのボビー話を書いた作家の文章は好きですか?」

突然、脈略もなく、唐突に質問されたマヒルは一呼吸おいて返事した。

「えっ・・・んまー・・・そうね。元々ね、ラジオの番組でパーソナリティーを担当してたのよ。それで話が面白くて読んでみようと思って数冊・・・読んだの」

「ラジオ? ラジオで喋っていたんですか? その人?」

「そうよ。KHR極東放送で、五年位前まで放送してたかな・・・「きまぐれ飛行船」って番組よ。深夜に放送してたんだ」

マヒルは何故読み始めたかを説明した。

「その人の話は、もっと読んでるんですよね? おしえてください」

夏生が小説の内容を聞きたいと言った。

「そうね・・・何を話そうかな・・・」

マヒルは考えていた。

マヒルの考えていた事は小説だけでなく他にもあった。

バナゴンは那覇の混雑した街を走っていた。

後方の那覇空港方面からは、ジェット機の点滅ランプが空から舞い降りてくる。

大きい反響音はしてるが、姿は捉えられない。

シンクロナイズさせられない状態が苛立ちさえおぼえる。

「二人の青年がいるの。 青年と書いてるだけで具体的な歳はわからないのよ。それで・・・たしか・・・どちらかに彼女がいるのね」

マヒルは思い出したように話し始めた。

「その彼女を二人で待っているのよ・・・二人はトモダチ同士だし、どちらかは仕方ないというか、野暮ったい付き合いみたいなものね」

「ふ?ん・・・そうなんですか・・・野暮ったいか・・・野暮ったいって、どんな意味ですか?」

夏生が質問した。

「ん?・・・面倒くさいって言ったほうがよかったかな・・・とにかくそーゆーことなのよ」

マヒルは小説の中の登場人物の関係を上手く説明しきれなかった。

「それから、どーなるんですか? マヒルさん」

「ちょっと待ってね」

マヒルは考えていた。


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テーマ : 自作連載小説
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