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遠い夏の日 第八十話

[カメラマン  冬島直哉 03?3584?××××]と、名詞は簡単に書かれていた。

「申し遅れました。僕はフリーのカメラマンをしてる冬島です」

冬島と名乗る長髪の男性は自己紹介をした。

「あっ・・それでは私も」

[新報社 記者 波間千賀子 東京都千代田区神保町・・・]と、書かれた名詞を差し出した。 

「はじめまして波間です。何かのご縁があるかもしれませんね。今後とも宜しくおねがいします」

千賀子は業務的な挨拶をした。

「いやいや・・こちらこそ・・新報社さんだったんですか・・・まっこちらこそお願いします。それは、そうと先程のイザイホーの件ですが・・・正式には行われてないんです。いや・・・非公式でも行われなかったというのが正解です」

冬島はイザイホーの発言について修正するような発言をした。

「あの?・・・そもそもイザイホーって・・・なんですか?」

千賀子は冬島に質問した。


「イザイホーとは、久高島で12年に一度行われる儀式です。」

「儀式ですか?それって・・・」

「はい・・これから説明しますが、閉館の時間も迫っていますので、歩きながらにしましょう」

冬島は戻ろうと提案した。

千賀子は頷き冬島の説明を待っていた。


イザイホーとは、久高島で12年に一度行われ、久高島で生まれ育った三十歳以上の既婚女性が神女(神職者)となるための就任儀礼であり基本的にその要件を満たす全ての女性がこの儀礼である。 

琉球王国時代において、最高の聖域と位置づけられた久高島には、古くから「男は海人、女は神人」の諺が伝わるり、男たちは成人して漁師になり、女たちは神女になるということである。

これは琉球王国の信仰基盤となるおなり神信仰を象徴するものであり、すべての既婚女性は30歳を越えるとイザイホーを経て、神女になるのである。

イザイホーは十二年ごとの午年・旧暦の11月15日から4日間行われるが、島の過疎化が進み、1990年はナンチュ(新たな神女)となる女性の不在と、儀式の祝詞や段取りをもっともよく知る久高ノロウメーギ(神職名。久高ノロの補佐役)の逝去のために行われなかった。

しかし1978年には、長い間秘祭として部外者への公開を拒んでいたのだが、久高ノロウメーギであった西銘シズの全面協力によりイザイホーは多くの民俗学者に積極的に紹介され、記録映画が撮影された。

史料に記録される限り600年以上の歴史を持ち、来訪神信仰の儀礼として日本の祭祀の原型を留めているとされ、多くの学者の関心を集めているのである。

冬島は、イザイホーについて説明したが、千賀子は上手く飲み込むことができなかった。

「冬島さんは久高島に興味があるんですか? 私はノロ・・ユタを知りたいのです。 どーでしょうか・・もし宜しければ共同取材をしませんか? 緊急記者クラブ設立って事で・・・?」

千賀子は不敵にも笑顔で冬島に提案した。

「そうですね・・ですが・・仕事じゃないんですよ僕は・・一応バカンスみたいな・・でもフリーなんでチャンスがあれば何枚かはシューティングしようと思っています・・・それに・・」

冬島は口ごもった。

「それに・・こんなお綺麗な方と一緒に取材出来るなら・・願ったり叶ったりでして・・・」

冬島は社交辞令なのか冗談なのか、頭を掻きながら言った。


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