FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

遠い夏の日 第三十三話

西日が強く射し込みエアコンがきいていても陽射しがあたる肌の部分は、うっすらと汗ばんでくるくらいだった。

店員が店のロールカーテンを下ろしはじめ、瞬と夏生のところのカーテンを下ろそうとしたときだった。

「ここはいいです」

と、瞬は店員を制止した。

「あ、はい」

20代半ばと思われる女性店員は、チラっと二人寄り添う席を見て戻って行った。

瞬はまだ一口も飲んでいない夏生のアイスティーを手に取った。

透明で背の高いプラスティックのグラスは汗をかいていた。

濃い茶色のアイスティーは太陽の光を通して琥珀色となり白いテーブルに映りこんだ。

「見てみて。色が変わってるよ」

瞬は夏生の耳元で優しく囁くように言った。

夏生は顔を上げグラスとテーブルを見つめた。

「ホントだ・・」

夏生の泣き顔は、もうどこかへ消えていた。

あんなに緊張したりソワソワしていた自分が、瞬と寄り添いくっついているのに、不思議と穏やかにいられると夏生は感じていた。

夏生は涙の雫が今までの嫌な出来事すべてを含み、流れていったのかもしれないと思っていた。

「色って不思議だね。いろんな角度から見ると違って見えたり、こうやって光を通すと変わって見えたり・・」

夏生は自分が思っている偏見を、取り除こうとして瞬は言っているんだと思った。

「ふっ」

夏生は少し鼻で笑ったような笑顔を見せると鼻をすすった。

瞬はアイスコーヒーのグラスも同じように太陽の光にかざしてみた。

グラスの中の真っ黒い色は光を通さなかった。

「ここまで濃い色だと、光も通さないね」

[本当に汚れきった黒って光も通さないんだ・・・シュン君て怖そうな不良っぽい人に見えるときもあるけど・・優しい部分もあるし・・]

夏生は瞬への関心と、色んな葛藤などで混沌としていた。

[でも・・いいや・・なんか不思議な人だし・・シアワセかも・・]

夏生は初めて自分の中の抑えていた感情で、異性へ封印していた気持ちのシアワセの文字をイメージしていた。

瞬は夏生の耳元で歌詞の一部を歌った。

「♪I see a red door and I want it painted black...」

「えっ・・なんて言ったの?」

夏生は瞬の歌った曲に興味をしめした。

「ストーンズだよ・・ローリングストーンズ・・聴いたことある?」

「うん・・ラジオから流れてくるのを少しだけなら・・」

「こんどオレん家こいよ。レコードたくさんあるから」

瞬は夏生を家に招待した。

「うん」

夏生は笑顔で応えた。

「まだ残ってるよ。食べて、そこらへんをブラブラして帰ろうぜ」

瞬は耳元でそう言うと、アイスティーのストローを夏生の口へもっていった。

http://

Paint It BlackPaint It Black
(2007/08/14)
The Rolling Stones

商品詳細を見る


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村
スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説
ジャンル : 小説・文学

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。